九谷シンブル No.43〜銀彩染付
藍の花に、銀の光を重ねて
宮吉由美子氏が描く、銀彩染付の九谷シンブル
白磁の上に広がる、やわらかな藍の濃淡。
その花々を縁取るように、銀彩の細い線が静かに光ります。
九谷シンブル「銀彩染付」は、九谷焼作家・宮吉由美子さんによる作品です。宮吉さんは、呉須で描く染付の世界に銀彩を取り入れ、伝統的でありながら、どこか洋の趣も感じさせる独自の作風を築いてきました。

メインとなるNo.47には、シンブルを包み込むように花々が描かれています。淡い青から深い藍へと移ろう染付の表情に、落ち着いた銀色の輪郭が重なり、小さな器面に奥行きを生み出しています。
銀彩は、いつも同じ色に見えるわけではありません。
光を正面から受けると明るく輝き、見る角度が変わると、灰色や古金色にも似た穏やかな色を見せます。シンブルを指先で回すたび、花の姿と銀の光が少しずつ変化していきます。
工房で生まれる、藍と銀の世界
今回、私たちは宮吉由美子氏の工房を訪ね、作品が生まれる場所と絵付けの様子を取材しました。
筆に含ませた呉須を、白い素地へ運ぶ。
線を描き、濃淡を重ね、限られた器面の中に文様を構成していく。
完成した作品からは見えにくい、静かな制作の時間。工房の風景や絵付けの映像とともに、宮吉の手から一つの作品が生まれていく過程をご覧ください。
わずか数センチのシンブルにも、大きな器と変わらない細やかな仕事が重ねられています。小さな曲面に筆を走らせる様子からは、染付の滲みを生かしながら文様をまとめ上げる、作り手の確かな感覚が伝わってきます。
四つの銀彩染付
本シリーズでは、それぞれ趣の異なる四つのシンブルをご用意しました。
No.47 花の銀彩染付
本シリーズの中心となる作品です。藍の濃淡で描かれた花々に銀彩の輪郭を重ね、華やかさと落ち着きを併せ持つ表情に仕上げています。見る角度によって銀の線が浮かび上がり、花の重なりに豊かな奥行きが生まれます。
No.44 余白を生かした花文様
伸びやかな藍の枝葉と、小さな花を配した作品です。白磁の余白が文様を引き立て、軽やかで親しみやすい佇まいを見せます。花の中心に置かれた温かな色が、藍と銀の静かな世界に小さなアクセントを添えています。
No.46 大花の銀彩文様

大きく開いた花を正面に据えた、存在感のある作品です。銀彩で区切られた花びらと染付の濃淡が重なり、正面を見る角度によって印象が大きく変わります。四種類の中でも、装飾性の高さが際立つ一品です。
No.43 幾何文の銀彩染付

三角形を基調とした構成に、唐草を思わせる曲線と銀彩を組み合わせています。花を中心としたほかの三点とは異なり、端正で建築的な印象を持つ作品です。藍、白、銀の対比が明瞭で、シンブルの小さな造形を美しく引き締めます。
手のひらで出会う、宮吉由美子氏の世界
染付の青は、筆の動きや呉須の濃さ、焼成によって一つひとつ異なる表情を生みます。そこへ加えられた銀彩も、光や見る角度、時の経過によって色合いを変えていきます。
同じ図案であっても、まったく同じ表情のものはありません。
工房で重ねられた手仕事と、藍と銀がつくる静かな華やかさ。
四つのシンブルから、心に残る一品をお選びください。